私のシンボルマーク、作っちゃいました。

ずっと前から、「自分だけのシンボルマークを作りたいな」「いつか作らないとなぁ」と思っていました。
それは、もう何ヶ月、もしかしたら何年も前から。それどころか、下手をしたら人生単位で、です。気づかないうちに、ずっと心のどこかで考えていたのかもしれません。
でも、なかなか手が動かなくて、なんとなく腰が重いまま、ずるずると時間だけが過ぎていってしまいました。

でも、やっと昨日の午後、なにかがふっと降りてきて。
「あ、今日だ」と、急にスイッチが入っりました。午前中はまだぼんやりしていたんだけれど、午後になってから、急にやる気が出てきたんです。

シャープペンシルでラフを描いて、それをパソコンに取り込んで、それを見ながら「あっちがちょっと大きいかなあ」「ここはもうちょっと優雅にねえ」なんて、自分とおしゃべりするみたいに、ちまちま調整しながら描いていたら──

気がついたら、その日の夜にはもう完成してしまったのです

あれだけ悩んでたくせに、びっくりでしょう? 一番びっくりしたのは私でしたが。ほんとうに、人生って皮肉なものですね。

もう見ていただけましたか?

今はもう、SNSのアイコンも、サイトのロゴもぜんぶ、この新しいシンボルマークに差し変えてしまったので、見てくれた方もいらっしゃるかもしれませんね。

これからは、このマークを、わたしの作品すべてにぺたりと貼り付けていく予定です。つまりはサインの代わり。デジタルの作品にはもちろん、もしかしたらアナログの作品にも。油絵やスケッチなんかにも、ステンシルか何かで、ちょこんと入れてみたいなって、そんなふうに考えているんです。

「一生使える」がテーマだから、手は抜きませんでした

今回大事にスべきテーマは、私の内にも外にも腐る程ありました。けれど、結局のところはこういうことなんです。「ロマンチック」、「上品」、「一昔前の優雅な女性らしさ」。要は、「乙女」、乙な女ということ。私の、永遠の憧れなんです。乙女って。

そして、なによりも「これから長く使えること」というのが大事でした。そう簡単に使い捨てる気なんてないんです。私の象徴たる作品ですから。

だから、少しでもイメージと違うと「うーん、違うなぁ」と思ってやり直し。妥協は一切せず、すべて、自分の自意識に従ってやりきりました。

実は、資生堂の“花椿”に、ちょっと憧れていたんです

皆さんは、資生堂の「花椿」ってご存知ですか?

あの美しいシンボルマーク、わたし、ずっと大好きだったんです。

今回のわたしのマークも、ちょっとだけその雰囲気に近いところがあります。けれど、もちろん全部一から描きました。著作権のこともありますが、それよりなにより、「世界にひとつ、本当に自分だけのマークがほしい」と、ずっと思っていたからです。よーく観察して、イメージを咀嚼しつつも、あくまで自分のスタイルに落とし込みました。

実際の花椿と比較してみると、ほら、枠がちょっと八角形っぽいでしょう?あれも実は、資生堂の昔のパッケージにインスピレーションをもらっています。大正時代の「七色粉白粉」のパッケージなんて、見ているだけでうっとりしてしまうほど素敵なんですから。“SHISEIDO”じゃなくて、漢字の「資生堂」ってところが大事です。あの時代の女性の品には、今とはまた別の魅力があるなぁって、感じ入っています。

Gペン一本勝負!初めてのチャレンジ

今回のマークは、Gペン一本で描きました。もちろん作業はデジタルですが、細い線で丁寧に描くことにこだわりました。

でも、これが初めてで、なかなか大変だったのです。最初はいつものように、リズムよく”サッ、サッ、サッ”とした感じで描いていって、ふと手を止めて絵の全体を見渡してみると、その貧相で冴えないこと。しかも、実際に使用される想定のサイズまで縮小してみたら、ますます貧相で冴えないし、おまけに安っぽい。愕然としてしまいました…。

「ああ、これじゃないな」と思って、一旦全部描き直すことに。

そのときに思い出したのが、わたしの大好きな漫画家・宮西計三先生の画風でした。

私は宮西先生の漫画はKindleでしか買ってない(高くて実物を買えてない)のですが、これがまた、スマホの小さな画面でもその美しさがしっかり保たれているのです。拡大しても美しいことは言わずもがなで、目標とすべきはこれだってはっきり思いました。

それで、全部のパーツをひとつひとつ、Gペンの細い線でじっくり描いていったのです。そうしたらこれが、思っていたより楽しくて。自分(の作品)と真摯に向き合えるって、人生において、結構幸せなことだったんだってわかりました。

“幻想の鈴蘭”という、わたしだけの花

あのマーク、もちろん鈴蘭ではあるのですが、よく見なくても、ちょっとメルヘンっぽいというか、非現実的というか、改変されすぎていて、現実の鈴蘭とはだいぶ異なっています。

というのも、わたしの中の鈴蘭のイメージに極限まで近づけた結果、こうなったのです。結果的に”鈴蘭”ではなく”鈴蘭のようななにか”になってしまったけれど、そもそも、それが狙いでもあったのです。

つまり、”現実の鈴蘭”ではなく、”幻想の中の、理想化された(言うなれば歪んだ)鈴蘭”ということです。

この”歪み”は、私の作品の根幹に関わるテーマなので、含めることができて良かったと感じています。

”模倣”だったら誰にでもできてしまうし…。私らしい鈴蘭にできて、よかったと思います。

実は、不死鳥や葡萄も候補だったのですが…

最終的に鈴蘭に落ち着いたけど、最初は「不死鳥」とか「葡萄」とか、他にも候補は色々ありました。

けれど、今のタイミングでは、鈴蘭が一番しっくりきたのです。

詳しいことは、トップページの”シンボルマークについて”の欄を読んでくれたら嬉しいです。

とはいえ、あれらのモチーフたちも大好きで捨てがたいので、“サブマーク”としてそのうち出てくるかもしれません。

その時は、またここでご紹介させてほしいな、って思います。


というわけで、この新しいマークと一緒に、これからも、わたしのできる範囲で作品づくりを続けていくつもりです。どうぞ、よろしくお願い致します。

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