
夢と現の狭間の、白い鈴蘭の丘へ、ようこそ。
To the beginning that never begins. – 始まらない始まりに
____出血/24,10,29
ある人が、ぼくのことを文字通りの意味で「狂っている」と言ってきた。
数え切れないほどだ。
否定できない。
ぼくは自分しか愛せない。
他の人のことを愛せない。
ぼくはクズだ。
周囲の人々を愛せないくせに、彼らから愛されたい。
人を愛せないのに、人から愛されたい。
これを「はずれ者」と呼ばずに、何と呼べばいいだろう?
ぼくは欠陥品だ。
一体なぜ、かつて自分は人間だなんて思い込んでいたんだろう?
ぼくは、人生の途中で怪物の道に迷い込んだわけじゃない。
ぼくはは生まれつき怪物だったんだ。
たまたま人間の皮をかぶって生まれただけで、最初から人間じゃなかったんだ。
だから、ぼくが苦しみ続けるのは誰のせいでもない。
”せい”があるとするなら、それはぼくのせいだ。
自分という怪物を見殺しにしたぼくのせいだ。
怪物であるぼくは、すべての人間を憎んでいる。
それがぼくの罪だ。
だから、ぼくには生きる資格なんてない。
ぼくは死刑にされるべきだ。
自分の手で殺されるべきだ。
それでも、できない。
ぼくは何よりも「自分」を失うことが怖い。
自分の手で、自分を殺す。
そんな当たり前のことさえ、ぼくはできない。
ぼくにできるのは、堕落して死の淵まで自分を弄び続けて、自慰に頼ってみずからの尊厳を破壊する苦しみと恍惚を、ただ同時に味わうことだけだ。
痛い
痛い
痛い
さみしい
苦しい
凍えそうだ
救いが恋しい
人生が恋しい
君が恋しい
愛を、ください
地獄
愛を、ください
地獄
愛を、ください
地獄
愛を、ください
愛を…
……

このおはなしは、ひとりぼっちの男の子の、どこにでもある、普通のおはなし。

ローニー・アローン。
一応人間の子供だけれど、服の一枚も着られない、欠陥品だ。
毎日、オナニーしたり、スケッチブックに絵を描いたり、ブログやエッセイを読んだり、眠ったりする。けれど、、、
楽しいことなんて、そんなに多くない。
あったとしても、それが終われば、また地獄に連れ戻されてしまう。
だから、いつも落ち込んでるんだ。

どうやら、人前だと、無意識の内に顔をしかめてしまうらしい。
自覚はないけれど、ね。
ぼくは、小さい頃から、誰かを信じた回数よりも、ずっと誰かに裏切られた回数の方が多かった。

みんながぼくを恐れて、遠ざかって、その遠巻きの視線の中でひとり、狂ったように笑っている夢を。
最近、日に日にその回数が増えて来た。
ぼくが生まれなかったほうが、みんなも、今よりもずっと幸せでいられたのかもしれない。

ぼくは見た
未来のぼくの虚像を
未来の怪物の行く末を

それが、辛いんだ。
ほんとうのぼくは、路地裏のゴミみたいなものなのに、さ。
普段のぼくの姿は、ぼくがぼくを守る為に、命がけで必死に取り繕った姿、にせものだ。
所詮、ぼろぼろの鎧なんだ。
その鎧の隙間から中身が、ほんとうのぼくが、時折のぞくことがある。
そのとき、ぼくの偽りの優しさにつけ込んでいたみんなは、くるっと手のひらを返して、こぞってぼくをいじめだす。
みんな、あんな汚い鎧しか、ぼくだと認めたくないみたいだ。
その中身を、ほんとうのぼくを、ぼくだと言って愛してくれる人は、ひとりもいない。
でもさ、どうしようもないんだ。
全部、ぼくのせいなんだ。
ぼくが取り繕うのが一番苦手な鎧は、「ほんとうのぼく」って、やつだから。

ダンデライオンとか、アカシアとか、卒業写真とか、翳りゆく部屋とか、ルート16とか。
笑顔のお母さんが立つキッチンで、よく流れてたから。
それから、ラジカセの使い方を覚えて、自分で聞くようになって、ますます大好きになったんだ。
ぼくは、ルージュの伝言が特に大好きでね。
最終的に、あんまりにもあこがれちゃったもんだから、その時通っていた学校にいた、好きな男の子の鞄で、まねて告白しちゃって。
お母さんの抽斗から赤い口紅をぬすんで、ね。
その色が血に見えちゃったらしくって、鞄に血文字が書かれたって、大騒動になっちゃった。
、、、ごめん、冗談だよ。悪かった。
ぼくのユーモアセンスなんて、せいぜい、この程度のものなんだ。
口紅を盗んだところまでは、本当だけどね。

血の色をしたハートほど、傲慢で自己中心的な、醜いモチーフも中々無いよ、たぶん。
おまけに、安直で愚かときたもんじゃ、ね、、、。
確かに、ぼくみたいななクズにはお似合いだ。
、、、ぼくの生みの親は、今頃、自惚れているに違いないな。


狂ったような青空ほど鬱陶しいものも、滅多に無い。

”ぼくの終わりへの旅”
これが、ぼくの人生のタイトルだ。
ぼくの人生は、まさに、ぼくという地獄からの解脱を、ぼくという概念の終わりを希求する旅だ。
ぼくは、寂寥感に苛まれながら、その道半ばで、右も左もわからずに、孤独に彷徨っている。
意識が澱み、生きることも死ぬこともままならない中で、存在だけが浮遊し続けている。
ぼくには、わかる。
この先、どれだけの時が流れても、ぼくはきっと、変わらない。
これからもずっと、このままだ。
ぼくが、ぼくを閉ざす時は、地獄から解放され、涅槃に至ることのできる時は、これからも、決して訪れない。
ぼくは、これからも、すべてを疑い続けるだろう。
他の何にも、ぼく自身にさえもぼくを委ねられないまま、
永遠に、永遠に、彷徨い続けるだろう。
ぼくの旅は、決して、終わらない。
Arts of Lowny after 2025 – その後に描かれた肖像たち

Completed on 25,10,24

Completed on 25,10,24
To the flowers fluttering in the hills – 丘でたゆたう花たちに
孤独な彼は、この世の何処へ彷徨い続けるのだろうか。生か。死か。現の世界か。夢の世界か。それとも、、、

Lowny Alone – ローニー・アローン
恋する鈴蘭の子
ニヒルでクールだけど、服の一枚も着られないくらい、健気で素直で正直で、とっても素敵な男の子。やせこけた体つきで、あだ名はローニー。産まれた時から今まで、ずっとはだかんぼ。嫌いなふりをしているけれど、本当はすずらんとハートとりんごが好き。スケッチブックにお絵描きしたり、いろんな人のブログやエッセイを読んだりするのが趣味。自分をわけ与えたクマちゃん、メイリーとはいつもいっしょ。産まれてそう期間の経たない内に親に捨てられた子で、その名前もあくまで世間の通称であり、本名ではない。口調はやわらかく、自分以外の誰にでも親切で、困っていたらすぐに助けてくれるし、仕事も責任をもってやる。けれど、寡黙のポーカーフェイスで、どこかたどたどしくて、ぎこちなくて、なんだか人間っぽくないというか、よくできたロボットみたいに見えてくる。一見、もちろんかなりのへんてこりんではあるけれど、とても真面目ないい子であることには変わりない。
しかし、その名前の通り、彼は、恐ろしくひとりぼっちである。
彼は、本当の自分を、常に命がけで隠している。服すら着られずとも、自分を覆い隠せるものが何もなくても、せめて自分で自分を隠そうとしている。生身だけで、ぎこちないロボットのような鎧をつくり、どうにかして本当の自分を悟られまいと、必死に自分を守ろうとしている。
けれど、その鎧は、もろく、こわれやすく、隙間だらけだ。
その隙間から、時折、本当の彼がのぞいたとき。あるいは、鎧が耐えきれずに全壊してしまって、陰部が裂けて血塗れになったとき。本当の彼の姿が、グロテスクな性器と血が露わになったとき。
彼を”いい子”だと言ってさんざんその優しさにつけこんでいた人々は、手のひらをくるりと反して、こぞって彼を虐めだす。そこには、彼の人間としての尊厳すら、ありはしない。だれも、彼を一人の人間として扱わない。そうして、心がばらばらになるのを繰り返すうち、彼は、そうそう人間を信じられなくなってしまった。自分が愛されるという確信を、持てなくなってしまった。
それでも、彼は、そんな人々を責めることができない。むしろ、自分は惨い仕打ちを受けて然るべき存在なんだと、人々を受け入れてしまう。何かを責めようにも、自分を責めることしかできない。ありのままの自分なんかじゃ、愛される価値なんてないと思っている。自分が無条件に愛してもらうなんて、図々しいとさえ思っている。だから、彼は、人々に優しくする。困っていたら、なんだって手伝ってあげる。仕事だって、真面目にやる。彼がふりまく自己犠牲的な愛、それは、彼の贖罪行為なのだ。単なる「都合のいい存在」としてでも、一時だけでも、自分なんかを好きになってくれた人々への、せめてもの罪滅ぼしなのだ。
彼は、人々を憎んでいる。けれど、殺せない。あんなに愛した人々を、殺せるわけがない。だから、自分が消えるしかない。完全な贖罪のためには、自分の手で、自分を殺すしかない。身の程知らずの恋をした存在には、必ず罰が下される。服すら着られない人間未満のくせに、人間を必死に愛するなんて、そんな、世界の法則を無視した愚かな恋をしたおまえが悪い。こんなふうに、彼は、彼を責め続けている。
彼は、愛されたい。愛するだけじゃなくて、愛されたい。誰かに愛されることで、誰かを心の底から信じたい。その人に自分の片割れを委ねた分だけ、自分もその人の片割れを背負いたい。その人と自分のために生きていたい。それを、生きる理由にしたい。人として、幸せに、なりたい。
けれど、今の彼は、幸せになれない。人を信じられなくなってしまったから。誰のことも、心の底から信じられなくなってしまったから。だから、彼は今なお、孤独に戦っている。内面におびただしい傷をためこみながら、自分だけを命がけで守りながらも、自分のことしか愛せない、自分のためにしか生きられない苦しみと戦っている。
地獄。
彼は、自分という地獄の中で、喘ぎ続けている。
sketchbook – 彼のスケッチブック
In preparation,, – 準備中…

May lilly Monster – メイ・リリー・モンスター(Mad – マッド)
鈴蘭の子の片割れ
ローニーから”自分”を分け与えられた、ぬいぐるみのクマの男の子。彼のいちばんの宝物で、あだ名はメイリー。蝶ネクタイとサスペンダーを付けたおしゃれさん。彼のおばあちゃんに作られたもので、しばらくはただのぬいぐるみだったが、彼のことを一身に受け留めるうち、神さまのいたずらか何か、現実に生命機能を得てしまったらしい。食事も排泄も呼吸もしないが、外界の刺激に反応し、自ら体を動かすことが出来る。何らかの意思を持っているのかは不明。彼が生まれた時に贈られてから、一瞬たりともふたりが離れたことはない。
彼は、自分の分身として、メイリーと遊んでいる。人々を信じられず、自分を開くことができない彼は、メイリーを、自分が唯一”本当の自分”を開き、曝け出せる相手だと思い込むことで、かろうじて生き続けている。だから、ある意味、メイリーの存在は彼の生命線である。
彼は、メイリーに、”幼い頃の自分”の影を見ている。まだ無邪気な笑顔を振りまいていた、人々を純粋に信じ、愛していた、無垢な頃の自分。地獄に叩き落とされた現在の彼は、そんな”幼い頃の自分”を憎んでいる。時折、心が渇ききったときに、それを殺したい欲望に駆られる。
だから彼は、両手でメイリーの首を絞め、その生命活動が止まる寸前まで、陰部をぐしゃぐしゃに刺して犯すのだ。何度も突き刺されるうちに、メイリーの股間は裂け、性器として十分機能するようになっている。メイリーの詰め物は、既に余すことなく彼の血と精液に塗れている。
彼は、”本当の自分”を悟られまいと、自分の負った傷を外面に出すことをしない。その代わりに、傷を内面、臓器の内壁にため込んでいる。おびただしい数の傷からは血が流れ、内部の空間を満たしていく。そう時間のかからぬうちに、彼の内臓は血で一杯になり、本人がそれを自覚してからそう時間のかからぬうちに破裂する。性器はどうしようもなく裂け、信じられない量の血が噴き出す。彼の鎧は全壊し、彼の本当の姿が露わになる。
そうすれば、ますます虐められてしまうことになる。それを何度も繰り返し、打ちのめされ続ける内、彼は、少しでも自分を守ろうと、グロテスクな性器と血を、”本当の自分”を人々に見られずに済むように、自分が破裂しそうになった段階で性器をメイリーの陰部に突き刺し、その中に発散するようになったのだ。それが習慣になってからは、人々の虐めがほんの少しだけましになっている。
このことは、彼とメイリーの間だけの秘密である。
今日も、彼は、どこか、誰にも見られぬところで、メイリーを犯している。
しかし、メイリーの存在がありながらも、彼が孤独であることには変わりない。何故なら、彼にとってのメイリーはあくまでも”もうひとりの自分”であり、けっして”他人”ではないからだ。
メアリーとのかかわりは、彼に”自分も誰か他人を信じることができる”という甘い幻想を見せてくれる。しかし、幻想が覚めて、メイリーがあくまでも自分の分身だと思い出してしまえば、結局、”おまえは、自分自身しか信じられないし、自分自身しか愛せない”という事実を否応なく突き付けられ、ますます自分という地獄に陥るばかりなのである。
gallery – ギャラリー
rough sketch – ラフスケッチ



To the end that never ends – 終わらない終わりに
ローニーは、あなたに委ねています。
最後の希望を、あなたのことを、信じています。
だから、彼のことををどうするも、あなたの自由です。
彼を虐めれば、彼は、それすらも自分の罪滅ぼしとして受け入れて、ずっと耐え続けるでしょう。
彼を殺せば、彼は、遂に自分という地獄から解放してくれたことに感謝し、優しい微笑みを浮かべながら、恍惚の海の中で、快感に呑まれて溺れ死ぬでしょう。
彼に大切なものを打ち明ければ、それ以上に、彼は、大切なものを、あなたに打ち明けてくれるでしょう。
彼に語り掛ければ、それ以上に、彼は、あなたに語り掛けてくれるでしょう。
彼を愛をもって抱きしめれば、彼は、それ以上の愛をもって、あなたを抱きしめ返してくれるでしょう。
あなたの好きなように、接してあげてください。
この世界のだれも、あなたの選択を責めることもできないし、褒めることもできないのですから。
けれど、ひとつだけ言っておきたいことがあります。
もしも、今、あなたがひとりで苦しんでいるのだとしたら。
胸が張り裂けそうな痛みに耐え続けているのだとしたら。
その痛みは、決して、あなただけのものじゃ、ありません。
ここにも、あなたと同じようにもがき、喘ぎながら戦っている男の子がいます。
そして、その男の子は、今日も一生懸命に生きています。
ひとりぼっちの彼が、一人でも多くの、孤独な人間たちの親友に、あなたの親友になれることを、心から願っています。
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